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宇宙飛行士訓練をもとに開発された
教育プログラムのデザイン
夏真っ盛りのころ、ありがたいことにいつも仕事でお世話になっている方から新規のお客さまをご紹介いただきました。それがSpace BD株式会社さま。宇宙に関するさまざまな事業をおこなっている企業です。
今回ご依頼いただいたのは宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC:JAXA Space Innovation through Partnership and Co-creation)の枠組みによる事業共創活動により開発された教育プログラム『精神心理的能力診断ツール』のデザインです。
内容は、なんと宇宙飛行士訓練のノウハウを学校教育に活かそうという斬新なプログラム・診断ツールです。我々デザイナーにとっても特長や訴求点がわかりやすく、イメージやアイデアが湧きやすい魅力的な商品です。
ご依頼いただいたのは紙パンフレットとWEBサイトの制作でしたが、まったく新しいサービスなのにブランディングの方向性も定まらないままでは安定飛行は難しいと考え、ブランディング・アイデンティティの策定やロゴマークデザインから提案させていただきました。
WEBサイトやパンフレットの表紙で使用するメインビジュアルには、ひと目で宇宙関連の商品であることがわかるように宇宙飛行士の写真に、宇宙飛行士の顔を模したマークを貼り付けたものにしました。
“伝わる”パンフレットとなるために
この魅力的なサービスを学校現場で導入いただくためにポイントとなる点はいくつかありますが、まず最初に考えたことは“どんな商品かがすぐわかる”ことでした。世の中で初めての特長をもった新しいサービスなので、この“わかる”“伝わる”ということはすごく重要なことです。
このパンフレットをご覧になった方が、早い段階で商品の概要がつかめて前向きな状態で検討いただけるようなパンフレットにしたいと考えました。
商品の購入を検討している際、商品カタログを見てもすぐに理解できなかったり、要点を得ない営業担当の方の説明にモヤモヤ、イライラしながら話を聞くはめになったことはないでしょうか? そういったことを避けるために、お客さまが初期段階で疑問に思いそうな基礎情報を、最初の見開きにすべて揃えて、優先順位を決めてメリハリをつけながらレイアウトしました。
全体の構成については、特長や必然性・メリット・内容・伝えるべき詳細情報などを効率的にグループ分をけして、どの順番で掲載するとお客さまに伝わりやすいかをシミュレーションしながらページを構成。
お伝えしたい要素は多いのですが、理解いただきやすいようできるだけ文字の羅列にならずグラフィカルにすることも課題でした。
同時期にパンフレットとWEBサイトをデザインする難しさ
次は紙パンフレット先行で構成した内容をWEBサイトに落とし込む作業です。
媒体特性がまったく異なる“紙”と“WEB”を同時期に制作する際にまず考えることはご覧いただく状況の違いです。
例えば、営業担当がお客さまに対面でご覧いただく場合は、もちろんお互い「この商品は学校現場で使用するもの」ということは理解していますが、WEBから訪れるお客さまはそうとはかぎりません。「これは学校で使用するサービスなんだろうか?」なんて不安を感じながら閲覧を始められるかもしれません。
そのため、WEB版ではその状況を早めに理解できる要素である学校を連想させるビジュアルや言葉などを早い時点で入れるといった工夫をしています。
精神心理的能力診断ツール WEBサイト→https://space-bd-education.com/
また、訴求したいことを表現するビジュアルが、紙とWEBではベストな見せ方が異なるのは当たり前で、毎回新しい発見があります。
このように、ブランディング提案→ロゴマーク制作→パンフレット制作→WEBサイト制作 まで駆け抜けましたが、あとはこの魅力的なサービスが多くの学校現場で導入され、生徒さんたちの力となることを願うばかり! そのために考えたこれらのデザインが役にたっていればいうことはありません。