今日は、前回に引き続き写真家の映画。ロバート・フランクのドキュメンタリー『Don’t Blink ロバート・フランクの写した時代』についてです。
傑作『The Americans』
ロバート・フランクといえば、なんといっても写真集『The Americans』ではないでしょうか?
1955〜1956年にかけてスイスから来た若きロバート・フランクがアメリカ各地を旅して撮影されたアメリカ人の姿をまとめた作品。勢いのある世界の覇者・アメリカといった表のイメージとは異なるアメリカ人像をとらえて一世を風靡した、あまりに有名な写真集です。
インタビュー嫌いなロバート
この映画では、大のインタビュー嫌いであるロバート・フランクが、自分の人生を語っている。ホントにインタビュー嫌いなのか?と思うほど、にこやかに語る彼。年齢を重ねて丸くなったのか? 監督と確固たる信頼関係が築けているのか?その辺はわかりませんが、インタビューされて不機嫌にしている昔の映像も使われているのが面白い。
そして、写真を通して長年転がり続けてきた彼の人生をロック・ミュージック(かっこいい曲ばかり!)をふんだんに使いながら少しアバンギャルドなテイストで描いています。
これがまた、“雑な”感じのロバート・フランクのイメージにぴったり合っていて面白い。
ビートニク作家らとの活動
ロバート・フランクは『The Americans』のスタイルに固執することなく、映像作品にも活動の幅を広げていきます。
個人的には、ビート・ジェネレーション作家のジャック・ケルアック(The Americansに序文を寄せている!)やアレン・ギンズバーグたちとコラボしたくだりに興奮!
このビートニク作家との活動の他、ロックミュージシャンのツアーに同行して映像を撮ったり、正統派の写真家とはちょっと異なる、行儀のあんまりよろしくない感じがロバート・フランクらしいですね。
また、この映画にはシュタイデル(「世界一美しい本を作る男」で有名)が少しだけ出演しており、好きな人が見ると「おー」と興奮するポイントが度々あります。
映画としての面白さという点では、少し散漫な印象もあり万人にオススメできるタイプの作品ではないのですが、ロバート・フランクのファン必見の映画ではないでしょうか。
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