最近、シンギュラリティや人工知能関連の本を読むのがマイブームです。
シンギュラリティといえば、なんといってもカーツ・ワイルさん。
『ポスト・ヒューマン誕生 コンピューターが人類の知性を超えるとき』をめくっていくと、ほぼSFのようなことが近い将来起こることとして語られています。
わくわくする反面「ほんまかいな」と思うようなことばかりで、凡人のアタマでは付いていくのが大変です。
ここでは、もっと読みやすい人工知能をあつかった新書を2冊ご紹介します。
『AI時代の人生戦略 「STEAM」が最強の武器である』成毛眞
元マイクロソフト社長で書評サイト「HONZ」代表の成毛さんの著書。
この本は「STEMを知っていますか?」という問いかけから始まる。
STEMとは、
S=サイエンス(科学)
T=テクノロジー(技術)
E=エンジニアリング(工学)
M=マセマティックス(数学)
のこと。
これからの時代、この理系のセンスが重要だということです。
このSTEMに、アート(芸術)のAを足した「STEAM」の力があるかどうかで、人工知能を使う側と使われる側に分かれる。
「オレ、文系だから理系まったくダメやねん」なんて言ってると近い将来、職を失ったり、損をすることになる、という警告です。
「ゲームで遊ばないような奴に明日はない」なんてタイトルの章もあります。位置情報を利用したゲーム「ポケモンGO」ぐらいやったことがない奴なんてだめらしいです。スミマセン…。
シンギュラリティがおとずれるとされる2045年や、人工知能の能力が飛躍的に高まる2029年以降というより、もっと近いここ数年のこととして書かれてる、まさに今読むべき本です。
『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊』井上智洋
タイトル通り、経済学者の観点から書かれています。
アルファ碁やiPhoneに搭載されたSiriなど、今ある人工知能はすべて特定の目的のために設計された「特化型」だが、限られた用途ではなく人間の脳のように、なんでもできるような「汎用型」になれば、世の中の仕事が一気に人工知能に置き換えられていくとのことです。
人工知能が予想通りの進化を遂げると、サブタイトルにもあるように多くの人が職を失い、シンギュラリティをむかえる2045年あたりでは全人口の1割くらいしか働いていない世の中になっているかもしれないと予想しています。
そういった多くの人が働かない・職がない時代に向けてベーシックインカムを導入するべきだという提言がなされています。
そして、この本でもっとも印象的だったのは「あとがき」。
バタイユが提示した概念「有用性」を引用して、人間の存在意義について述べられています。資本主義全盛の現代社会に生きる人は、仕事で利益を生みさせるのか?とか、周りの人の役にたっているのか?…など「役に立つかどうか」で価値判断されている。しかし、大半の人間が仕事をもたない時代には、有用性で価値をはかるのではない新しい価値観への転換が必要になるのではないか?と。
なるほど、目から鱗でした。
それにしても、本の構成が見事でした。
人工知能の進化→第四次産業革命により、人間の職がなくなる→ベーシックインカム導入の提言(ここがハイライト!と思わせて…)→最後の最後で人間の価値観 という締めくくり。
著者のセンスを感じます。