みなさん『岩波文庫』は好きですか? 定番の古典ばかりで読むべき本は多いのですが、古めかしく難しい本ばかりなので、ついつい敬遠してしまいませんか。
ぼくもかつては苦手で、読みたいものが岩波文庫以外で出版されていれば、まよわずそちらを選んでいました。また、意を決して買ってみたはいいけれど結局読みづらくて、他の出版社で読みやすそうなものに買いなおすといった愚行を続けたものです。
今回は、岩波文庫の中で比較的ページ数が少なくて読みやいものをおすすめ本として紹介します。ポイントは薄さです。
『日本の弓術』オイゲン・ヘリゲル
〈 121ページ 読みやすさ度 ★★★★☆ 〉
ドイツ人のヘリゲルさんが日本に来て弓術の名人に教えを受けた体験談。「矢を射ようするな」「当てようとするな」などと精神論をつぎつぎに言われ「それで、どうやって射たらええの〜」と戸惑いながらも長年かけて体得していくさまがとても面白い。
『生物から見た世界』ユクスキュル
〈 166ページ 読みやすさ度 ★★★☆☆ 〉
この世界の生物は、みな同じ空間、同じ時間の中で生きていると思ってましたが…。実は知覚しているものがまったく違う別の世界で生きているようなものだという「環世界」という概念に触れられる一冊。ぼくはこの考えにすごく影響を受けました。あまり有名ではないけれど凄い一冊。
『共産党宣言』マルクス エンゲルス
〈 116ページ 読みやすさ度 ★★★☆☆ 〉
「万国の労働者よ、団結せよ!」で有名な一冊。なんとたったの116ページです。116枚の紙をめくるあいだ我慢するだけで「おれはマルクスを読んだ!」と言えるようになります。ぼくはそのために読みました。(正直、面白さはそれほどでは…)
『オー・ヘンリー傑作選』オー・ヘンリー
〈 260ページ 読みやすさ度 ★★★★★ 〉
これはホントにただただ娯楽として面白い。短編集で260ページありますが、一気読み必死。ユーモア(時にはえげつないと感じるくらい)とオチの連続です。「最後の一葉」や「賢者の贈り物」は超有名。
『方法序説』デカルト
〈 137ページ 読みやすさ度 ★★★☆☆ 〉
哲学を勉強してない一般の人でもなんとか読める哲学の古典。今回紹介する中では少しハードルは高いが、哲学書の中では読みやすい方。
直接勉強になることが書かれているので、ぼくはこれをよく人に薦めます。ただし、後半「神の存在証明」の部分以降は論理がよくわからずグタグタな印象…。前半を中心にどうぞ。
もちろん、他にもページ数が少なく薄いものはたくさんあります。
書店の岩波文庫コーナーには、おじいさんしかいない印象ですが、これを機に岩波文庫を選びに行ってみてください。