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デザイナーが読む
『風姿花伝』

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世阿弥が能のノウハウを後継者に伝えるために著した『風姿花伝』。芸能にたずさわる人はもちろん、デザイン・美術関連を仕事とする人にも興味深く読める古典だと思います。

秘伝の書だったため、一般に読むことができるようになったのは、なんと明治になってから。今、こんな本を読むことができるというのはホントありがたいことです。

デザイナーとしての立場で読む

さて、この『風姿花伝』、「初心忘れるべからず」の出典だったり、「花は秘すべし、秘すれば花なり」で有名ですが、グラフィックデザインに活かしてやろうというつもりで読んでいくと、以下の文章がもっとも目に止まりました。


能において、強い・幽玄・弱い・荒いという違いを知ること。
おおかたは目に見える表現の違いにすぎないので、一見たやすく思える。
が、真実この違いを見極められぬため、弱く・荒いシテ(演者)が多いのだ。


この文章の“”の部分を“デザイン”に、“シテ”を“デザイナー”に置きかえ読みます。そして「強い・幽玄・弱い・荒い」はデザインで連想すると以下のような感じでしょうか。

いかがでしょう。
『風姿花伝』を読んでいて最も感嘆・共感した文章でした。また、この“変換”はデザイナーだけでなくさまざまな職種にも当てはめることができます。自分の職業にとって、「強さ」とは?「幽玄」とは何なんだろう?と考えてみてはいかがでしょうか。

そうそう、『風姿花伝』の書籍はいろいろありますが、現代語訳をおすすめします。「現代語で読むべきではない」との意見もあるようですが、原文はかなり読みにくいですよ…。

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