「ネガは楽譜、プリントは演奏」というアンセル・アダムスの言葉を持ち出すまでもなく、写真は撮影した後工程も重要。トーンカーブなどの画像加工を施すことでイメージが大きく変わりますよね。
ここでは、そのトーンカーブの作り方で、ぼくの好きなパターンを紹介します。
テーマは「クールだけれど暖かみを感じる」です。
RGB、各チャンネルを個別に調整していきます。
ベースは“クール”にしたいので全体的に寒色系、特にシアンっぽさを出していきます。赤みの強いブルーではなく、ちょっとグリーン側に寄せていくと考えてもらったらいいでしょうか。
1.[R:レッド]まずは、赤みを抑える
まず、「レッド」を少し下に抑えて赤みを消し、反対の色であるグリーンの深みを少しだけ引き出します。少しだけです。
この後、 3番目の工程でブルーを持ち上げるのですが、ブルーだけでは赤みが強く、爽やかさが出ないので、ここで赤みを抑えておくのです。
2.[G:グリーン]少しだけ持ち上げます。
レッドを抑えると赤みは抑えられますが、少し重くなります。
これを緩和するために「グリーン」をほんとに少しだけ持ち上げます。
3.[B:ブルー]ここがポイント、逆S字
さあ、一番重要な「ブルー」。中腹をしっかり持ち上げクールに寄せていくのですが、白に近い明るい部分(カーブの右上)を少しだけ下に抑えて逆S字のカーブを描くようにします。
これにより明るい部分のみブルーの反対色・イエローが浮いてきて、全体はクールだけれと暖かみを感じるトーンになります。
これで、全体はシアンっぽくクールなのに、どこか暖かみ画像のできあがりです。
あとは、全体の濃度を明るくしてより爽やかな印象にしたり、逆に暗くしてコクを出すといった調整をしてください。
以下に、ビフォーアフター例を掲載してみました。
トーンカーブ適用後
より印象的でシネマライクな画になったのではないでしょうか? 実際ここ数年、映像のきれいな映画の色調はこのタイプが多いと思います。
この例では風景写真ですが、イメージが重要な雑貨やフード系のWEBデザインの画像に使うと効果的じゃないでしょうか。
ただ、やり過ぎは禁物。明るい部分を黄色くするのは“もの足りないかな”と感じるくらいでいいのです。